君のとなりで
いつの間にか俺も眠ってしまっていて。

何やら部屋の外からガタガタと音がする。

「あら、このサンダル実結ちゃんのじゃない?まさか…!」

玄関の方から母さんの話し声が聞こえる。

時計を見ると、五時過ぎ。

…朝帰りかよ!

ていうか、それより。

「おい!起きろ!」

この状況を親たちにバレるわけにはいかない。

一応服は着ているけど、二人でベッドでなんか寝てたらそりゃあもう…

「んー…まだ眠いよ~…今何時?」

まだまだ目が完全に開いていない実結。

脳内はまだ夢の中。

でも今はそんなことより、この状況がバレるほうがやばいって!

「母さんたち帰ってきてる!」

そう言うと、実結の半開きだった目がバチッと大きく見開かれた。

「えっ!!?ど、どうしよう!」

さすがの実結でもこの状況はまずいと思ったのか、慌てふためきだす。

「あっ、お前、ベランダから部屋に入れよ!」

「ええ…でも窓が…あっ!昨日開けっ放しだった!」

おいおい、それはそれで危ねえぞ。

泥棒が入る。

でも今はその実結の間抜けな行動に感謝だ。

「ほら、行くぞ!」

ベランダを開けて、促す。

だけどなかなか起き上がらない実結。
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