君のとなりで
白いタキシードがこんなに似合う人っているんだね。

もう何年も一緒にいるのに惚れ直しちゃうよ。

「よし、邪魔者は退散!」

早紀ちゃんが仕上げにあたしの首にネックレスをつけてくれた。

「じゃあまた後でな!あんまりラブラブしすぎて式に遅れんなよー!」


みんなが出て行っちゃって、部屋には颯と二人きり。

「ボーッとしすぎ。」

そう言うと、おでこをぴんと弾かれる。

それでもあたしの中の熱は冷めない。

「颯、かっこ良すぎてきっとみんな好きになっちゃうよ…」

それくらいに今日の颯はかっこいい。

「何言ってんだよ、現実見ろよ。」

現実、夢じゃないんだよね。

ずっとずっと夢見てた、大好きな人との結婚式。

その夢が今日、叶うんだ。

「そのネックレス、まだつけててくれたんだ。」

「当たり前だよ、あたしの宝物だもん!」

小さな水色のアクアマリンがついたハートのネックレスは五年前、颯があたしにくれたもの。

「こっちも?」

「うん!」

そして新しくあたしの宝物になったのは、左手の薬指にはめられている銀色のリング。

颯からもらったものは全部全部あたしの宝物だ。
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