君のとなりで
出会ってから二十三年、颯と恋人になってから八年、ついにあたしは大好きな人と、結婚します。

「颯、あたしのドレスどうかな。」

いつもより少しだけ大人っぽいメイク。

高いヒールも、アップにした髪も、似合ってるのかどうかはわからない。

また、しらないとか言うのかな。

颯は照れ屋だから、なかなか言ってくれない。

「…すげえ綺麗。」

その言葉にまた新しい涙がにじむ。

「もう、レア単語とか言うなよ?…これからずっと一緒にいるんだから。」

颯はやっぱり恥ずかしいのか、そっぽを向きながらボソッと言う。

レア単語語録、それはあたしの中で勝手につけているもの。

照れ屋で不器用な颯がたまにしか行ってくれない甘い言葉をあたしの中で勝手にランキングにしてつけているの。

「また、増えちゃったよ?」

「え?」

ずっと一緒にいるんだから。、なんて暫定一位の愛してる、を越しちゃうくらいに甘い言葉だよ。

本当にあたし、颯と家族になるんだ。

こんなに素敵な人の、お嫁さんになれるんだ。

嬉しくて、ドキドキして。

ずっと憧れてた。

いつか大好きな人と家族になることを。

それが今、叶おうとしてる。
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