君のとなりで

空回り side実結

「ほらー!だから休みなさいって言ったのに!」

病院から帰ってきてあたしをベッドに寝かせながらお母さんが言う。

やっぱり無理矢理テストなんて受けちゃったから、早紀ちゃん、平野君、そして颯にも迷惑かけちゃったな…

テストは、記憶のなかではけっこうできたと思う。多分赤点はない。数学のテストに颯と早紀ちゃんのヤマが当たって、意外にも早く終わって、安心しちゃったからかな?

目が覚めると、白い天井が見えた。熱で目が潤んでたから霞んで見えたけど颯がベッドの横に座っていて。

優しくあたしの頭を撫でてくれたから、安心してまた眠っちゃったんだ。

「颯君が家まで運んでくれたのよ?ちゃんとお礼言ってね。」

颯…重かったよね、ごめんね?

バカみたい…颯とクリスマスを一緒に過ごしたくてこんなになるまで勉強して。

考えてるとじわっと涙がにじんできた。

「実結!?どこか痛いの?」

泣いたあたしを見てお母さんが目を見開く。

喉も頭も、痛いよ。だけど涙が出るのはそのせいじゃない。
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