君のとなりで
「藤咲実結ちゃん、だっけ?ちっちゃくてかわいいよねー。学年でも狙ってる人多いらしいし!今日もね、実結ちゃんと同じクラスの玉木竜也、このパーティーで絶対落とすって意気込んでたもん。」

西田がいい終える前に俺は部屋を飛び出していた。走って店の外に出る。

実結がいるのは駅前のカラオケ。ここから走って約15分。

玉木竜也って確かこの前女泣かせたって昂が憤慨してたやつだ。実結はバカで鈍感だからそういうことにまるで警戒心がない。

街には溢れるほどのカップル。その間を全力疾走する俺はものすごくかっこわるい。

冬なのに額に汗が滲むほど走ってたどり着いた駅前のカラオケ。どこの部屋にいるかなんてわかんねえけどそれでも俺は店に入っていった。

入ってすぐのドリンクコーナーの壁に玉木竜也が手をついてなにかしゃべっている。

その壁に押し付けられるような状態で上目使いに玉木を見上げているのは紛れもなく実結で。
< 96 / 612 >

この作品をシェア

pagetop