出会えたこと それだけで
携帯が震えた。
〈受信:春樹さん 塾おつかれ!突然だけど、里奈って何年生?〉
初めてのメール。
いきなり呼び捨てって、女慣れしてるのかな、とか思ってしまう。
短い文さえすごく嬉しい。
〈送信:春樹さん おつかれさまです、3年生ですよ!春樹さんは?〉
すぐ返事が来る。
〈受信:春樹さん じゃあ俺高2だから2歳差かぁー!テカタメ口でいいよー!〉
2年なんだ…春樹の情報が自分のなかに入るたび、なんだかニヤケてしまいそうになる。
〈送信:春樹さん えっと、じゃあそうするよ笑〉
変な感じ。タメ口で、一気に距離が縮まることを実感する。
プルル…
電話?うそ…春樹さんから?
『も、もしもし』
『俺だよ、里奈』
『どうしたの?』
『えっと、今度2人で遊ばない?』
『え!』
『嫌だ?』
『全然!むしろ…』
『ん?』
『…嬉しいよ』
『なにそれ笑…俺も嬉しいな』
春樹さん…そんな、ドキドキさせる甘い言葉ばかり言わないで。
止められなくなる。この気持ちが。
『てゆか毎日会いたいな!朝、待ちぶせていい?笑』
『ええー笑』
それはさすがに怪しいしストーカーみたいでしょ、とツっこみたいところ。
でも、かわいいなぁって思ってしまう。
『里奈、何部なの?』
『バレーだよ』
『ほんと?俺もバレー部だったんだよね!じゃあ遊びに行くわ!』
『いつ?』
『明日とか丁度ヒマなんだよねー』
『明日、部活ないよ笑』
『じゃあ、むしろ明日遊ぼーよ』
『ほんと?いいよー!』
じゃあ駅に4時ね、と楽しかった電話を切る。
すごい…なんだかびっくりしかできないくらいだ。
遊ぶんだ、2人で。
好き、好き、好き…
心の中で呪文のように繰り返す。
「…好き」
ボソっと声にしてみたら、自分でも恥ずかしくなった。
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