だから、無防備な君に恋に落ちた



俺の言葉に、絵美ちゃんは気付いて、スプーンを見る。



『……あ……』




え、今、気づいたの、この人…


俺はポカーンとしている絵美ちゃんを見てプッと吹き出してしまう。




『絵美ちゃんさ、もしかして確信犯?』



『…ふぇ…?』



『もしかして、俺のことキスしてもいい対象になった?』


まだポカーンとしている絵美ちゃんを見て、俺は腹を抱えて笑った。




『…ち…違うよ!!』



今度は顔を真っ赤にさせて怒ってる絵美ちゃん。


本当にコロコロを表情が変わる。


ま、それを見てるのも面白いんだけど。




『あっそ』


俺は笑いながら、コーヒーを飲んだ。




俺の姿が余裕に見えたのか、絵美ちゃんは俺を見つめて、



『…航汰くんってさ…。
 学校でもモテてるでしょ?』


そう言って、絵美ちゃんは俯いた。




『なんで?』


俺はクスッと笑って、絵美ちゃんに問いかける。




『だって…。
 さっきアイス選ぶとき、私がどっちにするか悩んでたら、私が悩んでたもの、両方食べれるようにしてくれたじゃない?
 …なんていうか…テク?…なんか上手っていうか……』



プッ…


心の中でも吹き出す俺。




『絵美ちゃんさ、笑わせるのやめてよ?』



『…え…?』



『俺、誰にでもあんなことするわけじゃないよ?』



『…………』


俺の言葉に絵美ちゃんの返事はなくて。


だから、俺は言葉を続けた。



『俺は、絵美ちゃんがそうやって美味しそうに食べてる姿を見れればいいの!』



『……なんで……?』



『家じゃこういう絵美ちゃんは見れないけど。
 こうやって外に出れば、こういう絵美ちゃんが見れるから、俺はそれだけで嬉しいから』




俺の言葉に絵美ちゃんは涙を流す。



…へ…?



俺、なんか変なこと、言った?




『…そういうことは、一番大好きな女の子に言わなきゃダメだよ』




…へ…?



『俺、絵美ちゃんのこと、一番なんだけど?』




でも,絵美ちゃんは笑ったりしなかった。


ただ、ただ困った顔で、俺を見つめるだけで。




だから、悲しかった。



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