だから、無防備な君に恋に落ちた
『絵美ちゃん』
俺はそう言って、絵美ちゃんに近づき、絵美ちゃんの顎を手で持ち上げ、その唇に自分の唇を落とした。
『……え……』
ふんわり香る、甘いシャンプーの香り。
その香りごと俺は絵美ちゃんを包みたくて。
そっと、背中に腕を回した。
絵美ちゃんは、自分の手をユックリ、でも俺の腰に回してきて。
俺は唇を離し、
『俺のこと、好きって言ってよ?』
俺は近距離で、そう言う。
『………好き』
絵美ちゃんは頬を赤く染めて、そう小さな声で言った。
『…聞こえないんだけど?』
ちょっとの意地悪なつもりで言ったんだが。
絵美ちゃんは、その熱い視線を俺に向け、そして、もう一度、その言葉を言ってくれた。
『好き、大好き』
俺はその言葉を聞いて、体全体がゾクッとした。
恐怖や恐れではなく、体全体が軽く、幸せな気持ちで満たされる、その感覚にゾクッとしたんだと思う。
『俺も絵美ちゃんのこと、大好きだよ』
俺がそう言うと、絵美ちゃんは俺の腕の中で、優しく微笑んだ。
それを見ていた周りの人も歓声をあげてくれた。
すっげー幸せ。
俺の幸せには当たり前だけど、絵美ちゃんが必要なんだな……
周りの人からの歓声もあって、恥ずかしいのか、絵美ちゃんは俯いて。
『絵美』
でも、俺が名前を呼ぶと顔を上げて。
照れくさそうに、頬を真っ赤に染めてる絵美ちゃんに、もう一度キスをした。
『だから、隙、あり過ぎなんだよ』
でも、絵美ちゃんは優しく微笑んでいた。
俺の愛しい人はどうしようもないくらい隙ありすぎ。
無防備で、そして純粋で。
だけど、俺はそんな彼女に恋をする。
これからも、ずっと、ずっと。
END