君と僕の一夜物語
(やっぱ、黙っていれば
かなり可愛いからな…)
なんて苦笑いをしても
目の前の少女は気づかない
「そういや成人してるんだろ?
葡萄酒は嫌いなのか?」
『…飲んだことがない』
「じゃあ今のうちに慣れておくべきだ
砂漠越えなんかは、水よりも
葡萄酒やラム酒が生命線だからな」
『…くさいな、これ』
大きい木のコップを手に取り、
警戒しつつ匂いを嗅ぐ
その姿はまるで
未知の物に怯える子猫のようだった