君と僕の一夜物語
『…なんだ』
不機嫌そうに振り向く
黒い瞳が、不敵に光った気がした
「や…俺、町の奴じゃなくて
旅人なんだよ、たまたま来て」
『だからなんだというんだ』
(…全く、その通りだな)
しどろもどろになりながら
紡いだ言葉はなんの意味もなかった
「…お前、明日旅立つと言ったな」
『…そうだが』
けれど、魔女を呼び止めることには
成功した。
それだけで十分だ
「俺と一緒に旅をしないか?」