君と僕の一夜物語



『…なんだ』


不機嫌そうに振り向く

黒い瞳が、不敵に光った気がした



「や…俺、町の奴じゃなくて
旅人なんだよ、たまたま来て」

『だからなんだというんだ』

(…全く、その通りだな)


しどろもどろになりながら
紡いだ言葉はなんの意味もなかった


「…お前、明日旅立つと言ったな」


『…そうだが』


けれど、魔女を呼び止めることには
成功した。

それだけで十分だ




「俺と一緒に旅をしないか?」




< 44 / 148 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop