君と僕の一夜物語
『ところで、どこに行くんだ』
やってきたのは、町の市場
小物商から八百屋までが並ぶそこは
早くも賑わいを見せていた
「ん?仕入れに行くのさ」
『仕入れ?』
聞きなれない単語のようで、
リファは不思議な顔をする
「そう。旅をするには金が要る
けど旅をしているから定職には就けない
まぁ、行く先々の町で短期バイトして
稼ぐ奴もいるけど、俺は違うわけだ」
『はぁ…』
「そんな俺が、どうやって
資金を集めているかというと
訪れる町の郷土品やら食い物やらを
買って、次の町で売るんだ」
『…でも隣町とかだと交流もあるし
お互いの町の品なんて、
見慣れてるし元々売ってあるしで
買い手が付きにくいんじゃ?』
「…中々鋭いこと言うな
けどそういうのは大抵、割高なもんだ
町を行き来して尚且つ自店も持ってる
なんていうのはそこそこの商人だけだし
あともう1つ、売るコツがあってだな」
「ふーん?」
興味深そうに、
シオンに近づくリファ