兄貴がイケメンすぎる件
その時、早月翔太の表情が暗かった理由はわからないけれど、あたしはわざと明るい笑顔で「もちろん」って頷いた。
あたしだって、早月翔太……ってか、翔太が好きなんだから。
あたしがそう頷くと、翔太は少し微笑んで「じゃあ、また明日ね」と手を振った。
……………
翔太のマンションを出てすぐに、あたしは携帯を取り出した。
そしてずっと保存されていた、元彼である貴斗くんのアドレスを削除して、ついでに大事にしていた2ショット画像も思いきって削除する。
「…これで良し、っと…」
独り薄暗い街中でそう呟くと、あたしは今度は健に電話した。
…ちょっと怖いな。
怒ってたらどうしよう。
っていうか、怒ってて当たり前なんだけど。
そう思いながら「発信」ボタンを押すと、健はすぐに電話に出た。
“世奈!?”
健は心配してくれていたのか、声を聞く限り怒ったような声じゃなかった。
そんな健に対して申し訳なくなるあたしに、健が電話越しに言う。
“今どこ、”
「えっと…××公園の近く」
“独り?”
「うん」
“じゃあそこで待ってろ”
健はそう言うと、一方的に電話を切った。
あぁ…健が来たら、ちゃんと言わなきゃ。