兄貴がイケメンすぎる件
そんな翔太の言葉に、あたしはちょっと笑って翔太に言った。
「何言ってんの?あたしは、翔太のことが好きなんだよ。
健のところに行くわけないじゃん」
「…ほんと?」
「ほんとだよ。ずっと翔太の傍にいるから、安心して」
あたしがそう言うと、翔太は「そっか」ってやっと笑顔を浮かべた。
そんな翔太にあたしは、“もしかして、昨日の夜健と一緒にいるところを見られたのかな?”って思ったけど、まさかねって首を横に振った。
ってか、あたしの方が実は心配なんだよ、翔太。
アンタが、これから先もし兄貴と出くわしちゃったら、アンタの方こそあたしから離れて行くんじゃないかって。
…貴斗くんとのことを思い出して、寂しくなる。
『…なんだ、俺なんかいらないじゃん』
『ごめん。俺、世奈と別れる』
もう、別れるなんて言わないでね。
コワイ。
「…世奈ちゃん?」
「!」
「どうかした?」
独りそんなことを考えていたら、ふいに翔太にそう聞かれて、あたしは我に返った。
…後先のことを決めつけて、考え込むのはもうやめよう。
あたしはそう心に誓うと、また一口プリンを口の中に含んだのだった。