兄貴がイケメンすぎる件


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そして、その夜。

あたしがお風呂から上がってリビングに行くと、兄貴は何やら慌てた様子で携帯をポケットの中にしまった。



「兄貴、上がったよー」

「お、おぅ…ほな、俺も入ってくるわな」

「うん」



…だけど、何か気になる。

やっぱ確実に兄貴の様子がおかしい。



「ちょっと待って兄貴」



そう言って呼び止めてみたけど、兄貴は何故か「心ここにあらず」状態で返事をしない。

何故かぼーっとしたままお風呂場に向かっていて、あたしはそんな兄貴の腕を掴んだ。



「兄貴ってば!」

「!!?」



そしたら兄貴はびっくりした様子であたしの方を振り向き、言った。



「な、何やねん世奈。兄貴が風呂入ろう思てる時に…」

「何やねんじゃないよ。どうかした?兄貴なんか変だよ」



それに今日は、「カフェに顔を出すな」とか変なメールよこしてきたし。

何か悩みとかがあるなら相談してくれたっていいのに。


そう思いながら兄貴にそう聞くけど、兄貴は…



「いや、それお前の気のせいやから」



とだけ言って、リビングを後にした。


…やっぱり妹には教える気、ナシか…。


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