兄貴がイケメンすぎる件
あたしがそう言うと、健は微妙な表情を浮かべる。
「休めない?ってお前そんな簡単に言うけどな…」
「お願い!昨日から兄貴の様子がおかしいんだよ!」
それにこんなことを頼めるのは、健しかいないし。
仲の良い美桜だって、あたしの兄貴の存在を知らない。
そう思いながら健を見つめたら、健は難しい顔をしてあたしに問いかけてきた。
「っていうか、今じゃダメなの?今は昼休みだし、話くらいいくらでも聴くよ」
「…」
健はそう言うけど、あたしはどうしても兄貴が隠してる秘密を知りたくて、教室にいる他の生徒に聞こえないような小さな声で言う。
「ダメだよ、それじゃ」
「え、何で」
「だって…放課後、兄貴を尾行したいんだもん」
「は…」
…うん、いくら兄妹でもそれは引くよね。
わかってる。
それに、健だって部活が忙しいわけだし。
でも…
「…お願い。健しかいないの。健にしか頼めないんだよ。兄貴を一緒に尾行して」
「…」
あたしがそう言うと、健はしばらく黙ったあと、頬を人差し指で掻きながら言った。
「…わかったよ」