兄貴がイケメンすぎる件


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「…だから、ここに来たの?」

「うん」

「ふざけんなよ…」



そして兄貴と喧嘩したあたしは、あれから家に帰っても兄貴と気まずくなるだけだから、そのまま健の家に向かった。

健の部屋に入るなり(ちなみに入ったのは10年ぶりとか)兄貴の愚痴を聞いてもらって、「家出してきた」と最後に締めくくったあたしに健がそう言ったのだ。

ちなみに健は部活を休んだのか、さっきからずっとベッドの上に寝転がっている。



「だって、他にいいとこ思いつかなかったし」



そう言ってあたしがしょんぼりすると、健は…



「彼氏んとこ行きゃーいいじゃん」



って、躊躇いもなくそう言った。でも、行けるわけない。



「翔太には兄貴の存在を知られたくないの!あたしが突然“家出してきた”なんて言ったらすぐバレそうじゃん!」

「…あっそ、」

「…?」



健はそう言うと、寝返りを打ってあたしに背を向ける。


…何か、今日の健冷たいな。


そう思っていたら、あたしはその時一週間前に起きた出来事を思い出した。



“もしもし、健!?”

“お前今どこにいる?”

“もう学校にはいない”

“世奈ちゃん、”

“…なんだ、お取込み中かよ”



「…!!」



うわ…そんなこともあったな。

兄貴と喧嘩したことですっかり忘れてた。

あの時のことは、一応謝った方が…いいよね。



「け、健」



あたしは健の名前を呼ぶと、少しだけ健に近づく。



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