兄貴がイケメンすぎる件


でも…



「来んな」

「!!」



健はその瞬間、低い声であたしにそう言った。


クンナ…?


だいぶ怒ってるような健のその声に、あたしの肩が思わずビク、と震える。

…そうだよね。健だって突然「家出してきた」とか言われたら迷惑だよね。

それとも、一週間前の事まだ怒ってる…?


そう思いながらどうしようか独り考えていたら、あたしはその時健の枕元に置いてある“ある物”を見つけた。



「…?」



何アレ…体温計?

え、何で体温計が枕元に置いてあるわけ?



……まさか!!



「ちょ、健!もしかして風邪引いてる!?」



あたしがそのことにやっと気が付いてそう聞くと、健はちょっと黙ったあと「…うん」と呟いた。



「いや、“うん”じゃなくて!熱あるの?」

「さっき計ったら、39度とか…そのへんだった」

「!」



高!

え、じゃあさっきから何か態度が冷たかったのは…風邪引いてるから?

だったら“来んな”て言ったのは、風邪を移したくないからっていう理由だったり…?



「おじさんとおばさんは?ここに来るとき見なかったけど、ちゃんといるんだよね?」



あたしがそう聞いたら、健は…



「今日はいない。急用ができたとかで、ここ三日くらい親戚の家に行ってる」



そう言って、熱のせいか辛そうに笑った。


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