兄貴がイケメンすぎる件


健の話によると、健の両親が家を出て二日後ぐらいに健が風邪をひき始め、今日の昼頃に熱を出して学校を早退してきたらしい。

だからもちろん病院にも行ってないし、薬だってない。

だけどさすがに怠そうにしている健に、あたしは良いことを思いついて言った。



「じゃあ、あたしが健の看病してあげる」

「!」

「そしたら安心でしょ?(どーせ今日はどのみち帰れないし)」

「いや、でも…」



どこか不安そうにする健に、あたしは鞄から財布を取り出して話を続ける。



「心配しなくていいから、健はゆっくり寝てて?
その間に、そこの薬局でいろいろ買ってくるね」



あたしがそう言うと、健は観念したのか「ありがとう」と言って一旦部屋を後にするあたしを見送った。




……………




そしてそれから数分後、薬局から帰ってくると健はぐっすり寝ていた。

あたしが看病した事がある相手は兄貴だけだったし、健を看病するのは初めてだ。


…えっと、どうしよう。

とりあえず寝かせておこうかな。


そう思うと、買ってきた袋をその辺に置いて、あたしはなんとなく健の寝顔を見つめる。


…そう言えばこの前、



“きゃー、相沢くーん!”

“相沢くん、超かっこよかったよ!”

“はいこれ、スポーツドリンク買ったの”


“ありがとう”



…なんて、試合の後そんな会話を聞いちゃって、ちょっと落ち込んだっけ。

結局あの時の缶コーヒーは、翔太に渡しちゃったし。



…そう思っていたら…



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