兄貴がイケメンすぎる件
こんなにはっきりしない自分が、自分で嫌になる。
健を余計に傷つけることはわかってるのに…。
そう思っていたら…
「!?…っ、」
次の瞬間、あたしは突如健に腕を強く引かれた。
突然のことにびっくりする暇もなく、頭の中が真っ白になっていたら、あたしはそのまま健がいるベッドの上に引きずり込まれる。
「なにっ…!?」
そして暖かい布団の中に入ったかと思っていると、仰向けにさせられたあたしの上に健が覆い被さってきた。
健の肩の向こうには、部屋の天井が見えて…。
切なくあたしを見下ろす健の姿に、あたしはまた何も言えなくなる。
「…健?」
やっと今の状況を把握して健の名前だけを呟くあたしに、健が呟くように言う。
「お前がそんなだとさ、」
「?」
「俺期待するじゃん。もしかしたら“イケるんじゃないか”って」
「!」
「…あんま勘違いさせることすんなよ」
そう言って直ぐに、健はあたしにキスをしようとした。
「…っ!!」
だけどそんな健の肩を、あたしはやっと慌てて押し返し、抵抗する。
「健、やめっ…!」
……しかし、その直後。
「!」
あたしの携帯に、翔太から電話がかかってきた。