兄貴がイケメンすぎる件
…マズイ。翔太にバレかけてる。
あたしはそう思うと不安になって、あたしを抱きしめている健の腕をほどいた。
そして、不安げな顔をする健に背を向けたまま、電話越しの翔太に言う。
「…わかった、会おう。どこかで待ち合わせして、会おうよ」
あたしがそう言うと、翔太は「うん!」って嬉しそうに頷いた。
そんな翔太にあたしは簡単な待ち合わせ場所を言うと、部屋にかけてあった健の上着を借りる。
…うわー、見事にぶかぶかだ。
そう思っていると、健がどこか寂しそうに言った。
「…すぐ戻って来るよね?」
「もちろん。会ってくるだけだし」
「そっか…じゃあ気をつけてな」
「うん」
あたしは健の言葉に頷くと、財布と携帯だけを持って部屋を後にした。
…大丈夫。
ちゃんと健のことを話せば、翔太だってきっとわかってくれる。
あたしはそう思うと、翔太との待ち合わせである公園に向かった。
少しの罪悪感が心に残るなか、健の家を出て歩くこと数分後。
ようやく待ち合わせの公園が見えてきて、そこにはもう既に翔太がいた。
「翔太!」