兄貴がイケメンすぎる件


…マズイ。翔太にバレかけてる。


あたしはそう思うと不安になって、あたしを抱きしめている健の腕をほどいた。

そして、不安げな顔をする健に背を向けたまま、電話越しの翔太に言う。



「…わかった、会おう。どこかで待ち合わせして、会おうよ」



あたしがそう言うと、翔太は「うん!」って嬉しそうに頷いた。


そんな翔太にあたしは簡単な待ち合わせ場所を言うと、部屋にかけてあった健の上着を借りる。


…うわー、見事にぶかぶかだ。


そう思っていると、健がどこか寂しそうに言った。



「…すぐ戻って来るよね?」

「もちろん。会ってくるだけだし」

「そっか…じゃあ気をつけてな」

「うん」



あたしは健の言葉に頷くと、財布と携帯だけを持って部屋を後にした。



…大丈夫。

ちゃんと健のことを話せば、翔太だってきっとわかってくれる。

あたしはそう思うと、翔太との待ち合わせである公園に向かった。



少しの罪悪感が心に残るなか、健の家を出て歩くこと数分後。

ようやく待ち合わせの公園が見えてきて、そこにはもう既に翔太がいた。



「翔太!」


< 156 / 386 >

この作品をシェア

pagetop