兄貴がイケメンすぎる件


「…違うよ、世奈ちゃん」

「…?」



翔太はそう呟くと、あたしの目を哀しく見つめる。


…“違う”…?

って、どういう意味?


あたしがその言葉にそう思っていたら、翔太が言葉を続けて言った。



「確かに、世奈ちゃんにとっては相沢さんって良い幼なじみかもしれない。

いつも世奈ちゃんの傍にいてくれてるし。でも…」

「?」

「でもね、それって……世奈ちゃん自身がそう思ってるだけだよ」

「え、」



翔太はそう言うと、哀しい目をしたままあたしの頭にそっと手を遣る。

その言葉にあたしが戸惑っていると、翔太は…



「僕は世奈ちゃんのことが好きだから知ってる。

相沢さんは、



世奈ちゃんのことを幼なじみとして見てない」



そう言って、あたしを抱きしめた。


…でも、あたしは翔太の言っている言葉の意味がよくわからない。

あたしと健は確実に幼なじみなのに。

健があたしのことを幼なじみとして見てないって、どういうこと?


そう思っていたら、翔太がまた言った。



「気づいて、世奈ちゃん。相沢さんと世奈ちゃんは、もう幼稚園の頃みたいには戻れないんだよ。

だから、今も全然戻ってない。だって相沢さんは────…」


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