兄貴がイケメンすぎる件
…───しかし、その時。
「世奈!」
「!」
翔太の言葉を遮るように、聞きなれた声があたしを呼んだ。
その声にビックリしてそこを振り向くと、そこにいたのは…
「…けん…!」
風邪で辛そうな顔をした、健だった。
「あ、相沢さん…なんで、」
突然の健の登場に、翔太が顔をひきつらせてそこを見る。
すると健は、あたし達に向かってゆっくり歩み寄りながら言った。
「なんで、って…お前バカか。
いきなり世奈と近づくなとか意味わかんねぇこと言われて、俺がそのまま黙って引き下がれるわけないだろ」
「!」
「さっきも言ったけど、俺ら幼なじみなんだからさ。お前らがいくら付き合ってるからって、そこまで決める権利、早月にはない」
健はそう言うと、強気に翔太を見る。
…場の空気に緊張が走っている。
どうしたらいいかわからずにいると、翔太があたしをより強く抱きしめて言った。
「…嘘だ」
「は?」
「“幼なじみ”?今更よくそんなことが言えるね。本当は、世奈ちゃんのこと…
“幼なじみ”なんて思ったことないクセに」
「!」
「都合が悪くなったらそう言うんだ?」