兄貴がイケメンすぎる件


「え…」



幼なじみ「やめたい」って…。



「…なんで?」

「なんで?って、わかれよ。好きだからに決まってんじゃん」



…本当はその言葉の意味くらいわかっていたけど、あえてそう聞いたら健が即座にそう言った。

でも、あたしはもちろんそういうふうに思っていないし、むしろ健とはずっと良い幼なじみでいたい。


だけど……



「…っ…」



健は真剣な顔をしていてあたしが何かを言うのを待ってるし、後ろにいる翔太も翔太で、複雑そうな顔をしたまま、何も言葉を発しない。


…どうする?あたし、どうしたらいいの?




わかんないよっ…。



あたしはそう思うと、思わず泣きそうになりながら健に言った。



「っ…そんなこと言うな、あほぉ…」

「!」


「健がいくらあたしのこと幼なじみに思ってなくたって、あたしにしては良い幼なじみだもんっ…。

あ、あたしのこと好きだったらあんまり困らせること言わないでよね。

健がそんなだから翔太が不安になるんじゃん、」


「…俺のせいかよ、」



あたしがそう言うと、健はそう呟いてあたしから視線を外す。

でも、どう考えたってそうじゃん。もとはといえば…、



「っ…健が…健が小学生の時突然あたしに冷たくしたからいけないんでしょ!

話しかければ“うっせー”だの“黙れ”だの…そんなことさえなければっ…」



あんたの前で、大事な指輪を外さなくて済んだのに。


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