兄貴がイケメンすぎる件


あたしはそう言うと、目から溢れてきた涙を拭う。

そして健の次の言葉を待っていたら、翔太があたしの頭にぽん、と手を遣って健に言った。



「あーあ…泣かした、」

「!」

「僕の大事な彼女なんだから、泣かさないでくれる?」



翔太がそう言って健に目を遣ると、健は少し黙ったあと呟くように言う。



「………ごめん、」





…………



結局それからは三人で公園を後にして、あたし達はそのまま健の家に向かった。

あたしと健を二人きりにさせたくないらしい翔太が、「じゃあ僕が相沢さんの看病してあげる」とそう言ったのだ。

あたしは二人から少し離れた前を歩き、その後ろを翔太と健が珍しく並んで歩いている。

するとそんな時、翔太が健にあたしに聞こえないような小さな声で言った。



「…ごめんね、相沢さん」

「え、」

「さっき、世奈ちゃんに二度と近づかないでとか言っちゃって」


< 167 / 386 >

この作品をシェア

pagetop