兄貴がイケメンすぎる件


その問いかけに、あたしは思わずドキッとしてしまう。

なかなか「いいよ」と返事も出来ず不安でいたら、髪を撫でていた翔太の手がそのままあたしの背中に回ってきた。



「!」



そして、翔太の顔がまた近付いてくる。

お互いの顔が物凄く至近距離にきた時、あたしは怖くてぎゅっと目を瞑った。



…しかし。

瞑った瞬間、翔太が言った。



「…世奈ちゃん」

「…?」

「違ってたら、はっきり違うって言ってくれていいんだけど…」

「…な、なに?」

「世奈ちゃんって…



もしかして、“初めて”?」



「!!」



翔太はそう聞くと、あたしから顔だけを離した。

そして顔を真っ赤にしたままのあたしの顔を見つめると、じっとあたしの返事を待つ。

その問いかけに、あたしは正直に言った。



「…そ、だよ」

「!」

「あたし……誰にも抱かれたことない」



あたしがそう言うと、翔太はびっくりした顔をしてあたしを見た。



「…え、ほんとっ!?」



だけど、翔太がそういう風にびっくりするのも無理はない。

今まで11人彼氏がいたんだから、処女じゃないと思われる方が普通だろう。



「うん…抱かれかけたことなら何度かあるけど、怖かったから必死でやめさせた」

「そうなんだ…」



あたしがそう言うと、翔太はすんなりあたしから身体ごと離れた。


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