兄貴がイケメンすぎる件


「…翔太?」



もしかして、引いちゃった?


そんな翔太に不安を覚えていると、翔太は優しくあたしに言った。



「だったら、僕待つよ」

「!」

「世奈ちゃんが“大丈夫”って言ってくれるまで、ちゃんと我慢する。僕だって別に今すぐに…ってわけじゃないから、」



翔太はそう言うと、安心するあたしに向かっていたずらっ子のようにニッコリ笑った。



「…翔太…」



翔太の優しさにあたしがドキドキしていると、翔太は「じゃあ、寝よっか」と言って寝室の電気を消す。

あたしはまた向かい合わせで寝たかったけど、翔太は「おやすみ」と言うなりあたしに背を向けてすぐに寝た。


…ま、仕方ないんだろうな。

きっと我慢してくれてるんだ。



あたしはそんな翔太の背中をしばらく見つめていたけど、やがて少しずつ睡魔に襲われてやっと眠りについた。





******




そして、翌日。


あたしは翔太とたくさんイチャイチャしたあと、夕方頃に荷物を持って翔太のマンションを後にした。

本当はもっとずっと一緒にいたいけど、そろそろ兄貴がいるマンションに帰らなきゃ後が怖い。

だけど独りで兄貴に顔を出す勇気はなくて、気がつけばあたしはまた幼なじみの“アイツ”を呼んでいた。

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