兄貴がイケメンすぎる件
そして“アイツ”である健はもう熱がすっかり下がったようで、看病のお礼も兼ねて一緒にマンションについてきてくれた。
「勇斗くんは今日カフェ休み?」
「うーん、シフト上そうなってたはずだけど、どうだろう」
なんせ兄貴は店長だから、休みの日でもたまに店に顔を出したりする。
…あぁ、家に入るなり「ゴルァ世奈!!」とか言って怒鳴られたらどうしよう。
あたしはそんな心配をしながら、隣にいる健に再度言った。
「ね、ほんとにちゃんと話合わせてね?」
「わかってるよ」
「あたしが金曜日の夜から、今の今までずっと健の家にいたって!」
「大丈夫、大丈夫」
健はあたしの言葉にそう頷くと、「そんなに心配すんなよ」とあたしの頭をぽんぽん、と撫でる。
…ちなみにあたしが昨夜翔太の家に泊まったことは、健には話してない。
ってかそんなことはもちろん言いにくいし、あたしは親友の「美桜の家に泊まった」と嘘をついた。
ごめんね、健。
心の中で健に向かってそう謝ると、あたしはようやく到着した自分のマンションのドアをゆっくり開けた。
「た、ただいまー」
「お邪魔します、」
そしてそう言って明かりがついている玄関に足を踏み入れると、次の瞬間部屋の奥から勢いよく“ある人物”が走ってきた。
「世奈っ!!」