兄貴がイケメンすぎる件


「!!」



突然のその声と人物の姿に、あたしと健は思わずちょっと後ずさる。

一瞬、誰かと思った。ビックリした。

だって今走ってきたのは…



「お、お父さん…」



あたしのお父さんだったから。

お父さんはあたしの目の前までやって来ると、隣にいる健を指さして言った。



「おい世奈!誰だこの男は!お前はいつの間に家に男を連れ込むようになったんだ!?」



お父さんはあたしにそう言うと、次の瞬間キッと健を睨み付ける。

そしてどうやら相手が「幼なじみの健だ」と気づいていないお父さんに、あたしはその指をさしている手を押えて言った。



「落ち着いて、お父さん。覚えてないの?健だよ。幼なじみの健!」

「えっ!!?」



あたしのその言葉にお父さんがビックリすると、健が愛想良くお父さんに挨拶をした。



「お久しぶりです、おじさん」



そう言って、ニッコリ笑顔を浮かべる。



「…あ、あぁ!健か!いや~ちょっと見ない間に立派になって!」



お父さんはそう言うと、今度は健と同じくニッコリ笑って健の肩をバシバシ叩いた。

…何が“立派になって”だ。全然気づかなかったくせに。



「っていうかお父さん、突然どうしたの?」



あたしがお父さんにそう聞くと、お父さんは「まぁ、とりあえず上れ」とあたしと健を家の中に入れた。


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