兄貴がイケメンすぎる件
あたしのお父さんは、今兄貴のお母さんと九州で二人暮らしをしている。
あたしが高校に上がってすぐ、仕事の関係でそっちに引っ越しちゃったんだけど…。
ここにまた顔を出しに来るのは本当に初めてだ。
あたしと健がリビングに顔を出すと、そこでは兄貴がソファーに座っていた。
…げ、兄貴!!
あたしが兄貴を見て顔を強張らせると、兄貴が言った。
「久しぶりやなぁ、世奈?」
「そ、そだね」
「元気しとったん?」
「うん…一応、」
あたしがそう頷くと、兄貴は「それは何よりや」とニッコリ笑顔を浮かべる。
…うん。なかなかコワイ。
そんな兄貴の様子にあたしが怯えていると、それを見ていた健が兄貴に言った。
「あ、勇斗くん。世奈はね、ずっと俺ん家にいたから全然大丈夫だよ!
俺がしばらく風邪で寝込んでたら、世奈がずっと看病してくれてたし」
健がそう言ってあたしをフォローすると、兄貴は「え、そうやったん?」ときょとん、とした表情を見せる。
「え、それやったら話ちゃうやん。やって世奈、彼氏ん家泊りに行く言うてへんかった?」
「!!」
兄貴が遠慮なくそう言うと、一瞬健の表情が固まった。
「は…」
うわ、確かにそうだけど…兄貴のバカ!!
あたしがこの状況に慌てていると、それを横で聞いていたお父さんが口を開いて言った。
「…彼氏ん家…?」