兄貴がイケメンすぎる件


「!!」



う、嘘だ


嘘だ 嘘だ 嘘だ



健の言葉にビックリして、あたしは一瞬耳を疑った。

だって、そんなはずない。

いくら健はあたしのことを好きでも、無理矢理結婚なんて嬉しくないはずだ。


あたしがそう思っていると、やがて健があたしの向かいにやって来て言った。



「世奈」

「!」

「絶対幸せにするから、」



健はあたしにそう言うと、またニッコリ笑った。


だけどその瞬間、あたしの脳裏には昨日翔太と交わした言葉が過る。




『将来僕と世奈ちゃんが結婚したら・・・』

『台所に立って晩ごはんを作ってくれるんだろうなーとか、』

『僕が仕事から帰ってきたら・・・』

『チューしてくれたりとかさ』




…翔太…



そう思ったら何だか悲しくなって、あたしは思わず健の前で表情を曇らせてしまう。


しかし、その時…。



「!」



次の瞬間、それに気が付いた健があたしに向かってこっそり口パクで伝えてきた。



『嘘だよ』


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