兄貴がイケメンすぎる件
「!!」
…翔太と別れる…?
「イヤ!絶対イヤだからね!」
兄貴の言葉にあたしがそう言うと、兄貴は呆れた声で「世奈」とあたしの名前を口にする。
だけど、あたしは誰にどう言われたって翔太と別れたくはない。
だってそんなこと言われて簡単に納得できるわけないじゃん!
「絶対別れないから!翔太は良い人だし!」
そう言って、今度はあたしが兄貴に背を向けてそっぽを向くと、それを聞いた兄貴が言った。
「…ほな、世奈。わかった。別れんでもええわ」
「!…え、」
その言葉に、あたしはまた兄貴の方を向く。
しかし、次の瞬間兄貴はあたしにトンデモナイ言葉を口にした。
「その代わり、その翔太って彼氏、一回俺に紹介せえ」
「!?」
「世奈の言う通り、そんなにええ奴なら見てやろうやん」
「え、や…でも、」
兄貴の突然の言葉にうろたえるあたしに、兄貴が話を続けて言う。
「なんや、出来へんのか?それやったらお前自身がその翔太と“別れてまう”言うてんのと同じやで」
「!」
「そうやろ?結局そいつも今までの元彼と一緒になってまうんやから」
兄貴のそんな言葉に、あたしは何も言えなくなる。
確かに、悔しいけど兄貴の言う通りだ。
なるべく翔太と兄貴を会わせたくないと思っているあたしは、真っ向から翔太を否定してるのと同じ。
でも、だからって…
『ごめん。俺、世奈と別れる』
貴斗くんの時と同じようには絶対にしたくない。