兄貴がイケメンすぎる件
その美桜のジェスチャーに、あたしは恐る恐る翔太の方に視線を移す。
するとその瞬間翔太と目が合って…
「あ、あの…」
あたしが「携帯がない」ことを言いかけたら、翔太がそれを遮るようにあたしに言った。
「ごめん世奈ちゃん。僕今日早く帰らなきゃいけなくて、」
「え…」
「ちょっと大事な用事があるの。今日の夜またメールするから、」
翔太はそう言うと、「ごめんね」と言葉を付け加えてすぐに教室を後にした。
う、嘘でしょ…。
そんな翔太にあたしがショックを受けていると、その一部始終を見ていた美桜が言う。
「ほら、もっと早く言わないから、」
「…だって、」
「一緒に探してあげよっか?」
美桜はそう言って心配そうにあたしの顔を覗き込むけど、あたしは首を横に振って言った。
「ううん、大丈夫」
「え、」
「どーせあたし、今から健に呼び出されてるし。健に相談してみるよ」
「…そう?じゃあ、あたし帰るけど…」
「いいよいいよ、心配しないで」
あたしは美桜に笑顔でそう言うと、帰って行く美桜を教室で見送った。
…さて、あたしは今から健がいる(だろうと思う)グランド裏の倉庫に行かなきゃ。
あたしはそう思うと、やっと鞄を持って教室を後にした。
っていうか、それにしても…。
健が放課後に「呼び出し」って…
健は部活じゃないのかな?