兄貴がイケメンすぎる件
嘘…一緒に閉じ込められたってことは、健も携帯を盗まれてるかもしれないって思ったのに。
なんであたしだけ!?
そう思っていると、健が携帯を閉じて言った。
「…ダメだ、ここ圏外」
「え、」
「助けも呼べない、」
そう言って、ため息を吐く。
どうしよう…今日はもう翔太もとっくに帰っちゃったし、助けに来てくれるわけがない。
え、だとしたら、もしかしてあたしら明日までこの状態っ…!?
そう思ったらますます不安になって、あたしも盛大なため息とともにまた健の隣に座った。
確かに…この倉庫はコレといった窓もない。
あるとしたら、本当に高い位置に小窓があるだけだし、きっと人が通れるような大きさでもない。
すると、健もあたしと同じことを考えていたのか、次の瞬間周りを見て呟くように言った。
「…密室ってヤツだな」
「!」
その何気ない言葉に、あたしは思わず反応してしまう。
そんなこといちいち言わなくていいから!
あたしがそう思っていたら、隣にいる健があたしを見て言った。
「ね、何で俺ら閉じ込められたんだろーな」
「え、」
「だって、お前は俺から呼び出されてここに来て、俺は“昨日のことで話がある”ってお前からメールが来て…。
っつか、昨日のことって俺らしか知らないはずじゃん。どっから噂が流れたんだよ、誰にも言ってないのに」
「!」
健のその言葉に、あたしは瞬時に今朝のことを思い出す。
そういえば、あたし今朝翔太に…
『“健の方が安全だ”とか言い出して、“健と結婚してくれるなら安心出来る”って言われたの』
そんなことを言ってた気が…。