兄貴がイケメンすぎる件

どっちもどっちでしょ。


そう言うと、悪い意味でドキドキしながら背中で健の返事を待つ。

こんなことを言って、余計に怒らせてしまうのはわかってる。

いま喧嘩腰になったって、どうにもならないのに…


そう思っていたら、健が言った。



「…そりゃあお前、世奈からのアドレスで普通にメールが来たらまず疑わないだろ」

「…」

「それに…お前からの呼び出しだし。俺だって喜んで行くっての」

「！」



そう言うと、自身の頭をガシガシ掻く。

健が余計に怒るとばかり思っていたあたしは、その言葉で思わずまた健の方を振り向いて…

健はあたしを見ていなかったけど、少しだけ赤くなったその頬を見ると、あたしはやがて呟くように言った。



「…わけわかんない」

「…？」

「こっちは、喧嘩腰になってんだから…あんたも喧嘩腰になりなさいよね」

「…いや、それこそ意味がわからな、」



「でも………ごめんなさい」



そして健の言葉を遮ると、あたしはそう言って逃げるように平均台から離れた。