兄貴がイケメンすぎる件
翔太 side
「世奈ちゃんの携帯、どこにあるか知らない?」
「…え、」
夕暮れの校舎内。
息を切らして僕がそう問いかけると、目の前にいる女子はビックリしたような表情を浮かべた。
さっき、教室で僕が世奈ちゃんに言った「大事な用事がある」なんてのは嘘。
世奈ちゃんからは直接聞けなかったけど、今確実にピンチなのは知ってるし。
僕は今コッソリこうやって、独りで世奈ちゃんの携帯を探してる。
…でもまぁ、普通に探すんじゃ範囲は広すぎるし。
まずは心当たりがある生徒から、順番に。
僕の問いかけにその女子生徒は少しうろたえると、顔を俯かせて言った。
「…さ、さぁ……」
「…」
「でも、は、犯人は…知ってます」
「え、」