兄貴がイケメンすぎる件
……………
「…っ、」
走っちゃいけない静かな廊下を、急いでバタバタと走り回る。
手には世奈ちゃんの携帯。
僕はそれを大事に持ちながら、生徒玄関に着くなりすぐに靴を履きかえた。
さっき、女子生徒から全てを聞きだした僕はあれからすぐにその三年生の女子達のところまで行った。
するとやっぱり犯人は彼女たちで、「わざとじゃない」って散々言われたけど……じゃあ何なんだよ。
本当だったら、「フザけんなよ」って言って怒鳴り散らしたかったけど、今の僕にはそんなヒマなんて無く、
とにかく急いでグランド裏の倉庫まで走る。
左手には世奈ちゃんの携帯。
右手には倉庫の鍵。
お願い、間に合って!
まさか相沢さんも一緒にいるなんて、思わなかったから。
こんなの卑怯だ。今頃世奈ちゃん、無事でいるかな…。
そう思いながら、走って走って…とにかく走って。
すれ違っていく生徒全員に振り返って見られながら、僕はようやくその倉庫に到着した。
「世奈ちゃんっ!!」