兄貴がイケメンすぎる件
そんな世奈ちゃんの顔を見ると、その瞬間心臓が物凄く嫌な音をたて出す。
なんで世奈ちゃんがそんな顔をしているのか…
原因なんて、わからないわけなくて。
だけど僕は気づかないフリで、世奈ちゃんに近づいた。
「世奈ちゃん!」
「……しょーた、」
「平気?怪我とかしてない?」
「んーん。大丈夫、」
僕がそう声をかけると、世奈ちゃんは僕を見ずに平均台から立ち上がる。
地面に置いてある鞄を自身の肩にかけると、世奈ちゃんは「ありがとう」ってぎこちない笑顔で微笑んでくれた。
「…ううん」
でも………なんか、違う。
この世奈ちゃんの反応は、僕が予想していた反応とは遥かに違っていて。
何ていうのかな?
もっとこう…びっくりした顔で、だけど嬉しそうに「何でわかったの!?」とか、いろいろ聞いてくると思ってたのに。
…あっ、そうだ。
「これ、世奈ちゃんの携帯。三年生の先輩達が、盗んでたみたい。さっき取り返してきたよ」