兄貴がイケメンすぎる件
あたしのそんなはっきりした答えに、兄貴が呟くように言う。
「お前も頑固やな~」
「…」
いやいや、兄貴がしつこいんでしょ。
そう言おうかと思って口を開いたけど、喧嘩になっちゃいそうだから敢えて言わない。
最後の日くらい我慢しておこう。
あたしはそう思うと、台所から離れてテーブルを拭きに行った。
それからは、普通に晩ごはんを食べて
普通にお風呂に入って
普通にテレビを見て過ごした。
途中、指にはめてあるペアリングを見つめながらニヤニヤしていたら、
そんなあたしを見た兄貴に「お前、めっちゃキモイで」と言われたり、
そこでまた喧嘩になりそうだったけどそこもやっぱり堪えた。
…後味悪くしたくないんでね。
そしてしばらくテレビを見て笑っていたら、あたしの携帯が光っていることに気がついた兄貴が言った。
「あ、世奈携帯光ってんで」
「えっ、」
その言葉に、あたしはすぐに携帯を手に取る。
翔太?
もしかして、翔太かな。
そう思って急いで携帯を見てみるけど……
「…、」
違った。ただの迷惑メールだった。
超紛らわしい。
すると、そんなあたしに気がついた兄貴が何気なくあたしに言った。