兄貴がイケメンすぎる件



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翌朝。


今の時間、5時。

あたしは昨日のうちにまとめておいた荷物を持つと、兄貴がいる部屋の前を静かに通った。

今日でこのマンションともおさらば。

これからのあたしには、翔太との明るい未来が待っている。

だから、ここで兄貴にバレてしまえば、全てが水の泡だ。


あたしはそう思うと、息を潜めて廊下を渡った。



「……」



そして、なるべく足音もたてずに、玄関に向かう。

…よし、兄貴の部屋の前はクリアだ。

あとは靴を履いてこの家を出れば問題なし!


そう考えると思わず顔がニヤけて、あたしは靴を履き終えるとドアを開けて外に出た。


うーん、今日は絶好の駆け落ち日和!


翔太待ってるだろうな~。


あたしはそう思いながら服のポケットから鍵を取り出すと、そのドアの鍵を締めた。



やった~!脱出大成功!!



まさかこんなに上手くいくなんて思わなくて、あたしはちょっとだけスキップしながらエレベーターに乗る。

そして一階に降りて、やっと自由に翔太の家に向かおうとした。





――――――――その時。


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