兄貴がイケメンすぎる件


「えっらい嬉しそうやなぁ?」



「!?…っ、」




ふいに聞き慣れた関西弁が聞こえて、あたしはびっくりして声がした方を振り向いた。

するとそこには、ずっと外であたしを待っていたらしい兄貴がそこにいて…



「あ、兄貴…なんで、」



あたしは一瞬にして、身体が強張った。


あたしがその場から動けずにいると、兄貴があたしの目の前までやって来て言う。



「何処行くん?世奈チャン」



そしてあたしにわざとらしくそう問いかけると、ニッコリ笑った。

なんで?なんで、駆け落ちすることが兄貴にバレてるの!?


あたしがそう思って顔を青ざめていたら、兄貴があたしから視線を外して言った。



「…お前な、“なんで?”って顔しとるけど、もう俺ら何年兄妹やっとる思てんねん、」

「…」

「お前の考えてることぐらい、口に出さんでもわかるわ」



兄貴はそう言うと、勝ち誇るように笑った。


でも…



「あたし、兄貴が止めても絶対行くからね」



もう今更やめる気がないあたしは、強気な姿勢で兄貴にそう言う。


だって、あたしは翔太と別れる気なんて絶対にないから。

今のこの生活を捨ててでも、翔太と一緒にいたい。


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