兄貴がイケメンすぎる件

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息をきらして、階段を上る。

この階段を上ったのは、今ので何回目だろうか。


そして見慣れた番号が書いてある部屋のドアの前までたどり着くと、

あたしは一息ついてから玄関のチャイムを鳴らした。



「はーい、」



そしたら中から翔太の声が聞こえてきて、ドアが開いた瞬間あたしは翔太に抱き付いた。



「!…世奈ちゃん、」

「…」



あたしは翔太に何か言おうと口を開いたけど、言葉より気持ちが溢れてきて、なかなか声にならない。

ちょっと前までは、あたしがこうやってここに来ると翔太が先にあたしを抱きしめてきていたのに、今日はあたしから抱き付いてしまった。

今日からずっと翔太と一緒にいられると思うと嬉しくて、「兄貴と翔太を会わせなくていいんだ」と思うとほっとして笑顔がこぼれる。


あたしがしばらくそうしていると、翔太があたしの背中に腕を回してきて言った。



「…今日からよろしくね、世奈ちゃん」



そう言って、更に強くあたしを抱きしめる。



「うん、ずっと一緒にいようね」



あたしがそう言って翔太の顔を見上げると、ふいに翔太の顔が近づいてきてキスをされた。



…きっと今日からは、幸せばかりが待っているわけじゃない。

嫌なことだってあるだろうし、「帰りたい」って思う時だって絶対ある。


でも、それでもいい。

それでもあたしは、翔太といるって決めた。

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