兄貴がイケメンすぎる件
「…世奈」
「!」
「いい加減にしないと本気で怒るよ、」
「!!」
今までに聞いたことのないようなその声に、思わずあたしの肩がビク、と震える。
…怒るよ、って。もう怒ってんじゃん。
心の中で軽く悪態をついていたら、健がまた言った。
「お前のその勝手な行動で、早月翔太にどれだけ迷惑かけてるか、お前わかってる?」
「!」
…翔太に、迷惑…?
「確かに、今は幸せかもしれないよ。好きな人といるんだから。でもそれは絶対続かない。
もし本当に一緒にいたいんなら、素直に勇斗くんに謝ってアイツを紹介してきな」
健は厳しい口調であたしにそう言うと、今なお真剣な表情であたしを見つめている。
だけどそれだけは絶対に嫌なあたしは、怒っている健に怯えながらもはっきり言った。
「…やだ」
「は?」
「それだけは嫌!」
「!」
そう言って、思わず泣きそうになるのを必死で抑えながら言葉を続ける。
「兄貴に紹介しちゃったら翔太は離れて行くに決まってるじゃん!
それをわかってて、何で健はそんなことが平気で言えるの!?」
「!」
「あたしは翔太と別れたくないもん!みんなは別れろってうるさいけど、あたしは翔太じゃないと意味がない!」
「世奈、いい加減にっ…」
「うるさい!健は兄貴に言われてここに来たんでしょ!?どーせ兄貴の代わりに今怒ってるんじゃん!もうお願いだからほっといてよ!」