兄貴がイケメンすぎる件
あたしがそう言うと、一瞬だけその場が静まり返った。
…ちょっと言い過ぎたかな。
そう思って、あたしがまた健から逃げようとベンチを立った、
……その時。
「!?」
突如、あたしは健に強い力で腕を引っ張られた。
その行動にビックリしていると、その反動であたしはまたベンチに座らされてしまう。
だけど、そんなことを考えている暇もなく、あたしはその後すぐに…
「…っ!!」
健に、思いきり抱きしめられた。
まさかここで抱きしめられるなんて思ってもみなくて…
離してよって言おうとしたら、その時耳元で健が口を開いて言った。
「…勇斗くんの言葉で言ってるわけないじゃん。俺は世奈が大好きなんだよ。この前だってそう言ったじゃんか」
「!」
「それなのにお前が裏でなんかやってたら心配になるし、ほっとけるわけないだろ」
「…」
「…何かあったら絶対俺が助けてやるから、今はとにかく勇斗くんに素直に謝って、早月翔太を紹介しに行こう?」
健はそう言うと、抱きしめていた体を一旦あたしから離して、
「ね?」
と、今度は優しくあたしに微笑みかけた。