兄貴がイケメンすぎる件
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「…世奈ちゃん、どうしたの?」
「え、」
「グラタン全然減ってないよ」
二人で晩ごはんのグラタンを食べていたら、向かいにいる翔太にそう言われた。
健と、「兄貴に翔太を会わせる」って約束をしてから二日経った今日、実はまだ翔太にそれを話せていない。
だけどさすがにもう言わなきゃいけないから、あたしは手に持っていたスプーンを置いて、目の前の翔太に言った。
「…ねぇ翔太」
「うん?」
「ごめんね、迷惑かけて」
あたしがそう言うと、翔太は「どうしたの?急に」と笑う。
だけど本当は翔太に迷惑をかけていることも事実で、翔太は優しいからそれを言わない。
なるべくならこのまま、幸せなままずっと一緒にいたいけど、あたしは心を一旦落ち着かせると、やっと翔太に言った。
「…あのね、あたしは翔太が大好きだし、これからもずっと一緒にいたいって思う」
「うん、」
「でもこのままじゃきっとそれは出来ない、から…翔太に、会ってほしい人がいるの」
あたしがそう言うと、翔太は頭の上に?を浮かべて、「会ってほしい人…?」と呟きながらあたしを見つめる。
そんな翔太に、あたしは思いきって言った。
「あたし、実は上に兄貴がいるんだけど…。
翔太、その兄貴と会って」