兄貴がイケメンすぎる件
あたしがそう言うと、翔太はきょとん、とした表情であたしに言った。
「え、世奈ちゃんお兄ちゃんいたの?初耳、」
「うん。…なるべくなら会わせたくなくて、翔太には秘密にしてたの。ごめんね、」
あたしは翔太にそう謝ると、その後は今まで話したことがなかったあたしの家族のことを、全て偽りなく話した。
幼い頃に母親が亡くなって、父親が再婚して今の兄貴と義理の兄妹になったこと。
その父親と義理の母親が今は九州に離れて住んでいて、あたしは兄貴と二人暮らしをしていること。
そして、その兄貴と元彼が会ってしまう度に、あたしがフラれて失恋をしてしまったこと、全部を話した。
「……だからね、本当は翔太に兄貴の存在を知られたくなかったし、ずっと秘密にしておくつもりだった。
でも、周りに“別れろ”って散々言われて、“一回会って大丈夫だったら許す”って兄貴に言われたから…」
「…」
「会って…くれる?」
あたしがそう言って不安いっぱいに翔太を見ると、翔太はちょっと黙ったあと笑顔で頷く。
「…うん。じゃあ、会う。頑張って世奈ちゃんとのこと許してもらいたいし」
「!」
「それに、確かにこのままじゃ良くないからね」
翔太はそう言うと、特に不安そうな顔もせずに目の前のグラタンを完食した。
…本当に大丈夫なのかな。
そう思って尚もグラタンが進まないでいると、翔太がそんなあたしの傍にやって来て言う。
「だーいじょーぶだって、世奈ちゃん。僕は平気だよ。信じて?」
「…でも、」
「絶対に世奈ちゃんを手離したりはしないから。僕だって世奈ちゃんのこと大好きだし。ね?」
翔太はそう言ってあたしの頭を撫でると、優しく微笑んで台所に向かった。