兄貴がイケメンすぎる件
そんな優しい翔太の腕の温もりに、少しずつあたしの心が落ち着いていく。
このままずっと時が止まってしまえばいいとすら思っていると、翔太は、
「ほら、グラタン美味しくなくなっちゃうから。食べてきな?」
って、また身体を離して食器洗いを再開させた。
「…うん」
……まぁ、ちょっとは落ち着いたし。
今は素直にグラタンを食べに行こう。
あたしはそう思うと、さっきのテーブルに戻って少し冷めたグラタンを食べ始めた。
……………
……………
それから、数時間が経って気がつけば時計は深夜0時を過ぎていた。
明日は学校休みだし、カフェで働いている兄貴に謝りに行って、そのついでに翔太を紹介しようと思っている。
…だけどやっぱり無理だ。
心配しないで、なんてそんなことは出来ない。
明日、別れを告げられてしまうかもしれない彼氏を前にして、あたしは平気でいつもみたいに笑えるわけがない。
「…翔太、」
「うん?」
あたしはようやく着いた見慣れた寝室で翔太を呼ぶと、思いきって言った。
「…て、いいよ」
「え、」
「抱いていいよ、翔太」
「!」