兄貴がイケメンすぎる件
そう言って、相変わらずあたしの手をぐいぐい引っ張って奥へと進んで行く健。
職員玄関を素通りし、じゃあ生徒玄関から中に入るのか、と思っていたらそこも素通りしてグランドの方に向かう。
…ほんとに何がしたいわけ?
あたしが内心そう疑問に思っていたら、その時グランド付近にあるサッカー部の部室に到着して、健が言った。
「ちょっとそこで待ってて」
「え、何でっ」
「すぐ戻るから、」
「?」
そう言って、持っていたスポーツバッグから部室の鍵を取り出して独りで中に入る。
…ってか、何かちょっと肌寒くなってきたな。
あたしはそう思いながらも、仕方ないから健に言われるままそこで待ってやることにした。
「おまたせ」
「!」
そのあと健が部室から戻ってきたのは、あれらほんの数分後のことだった。
健は何か見慣れない鍵を手に部室から出て来て、未だ何もわからないあたしを再びどこかへと誘導する。
「ねぇ、ほんと、どこ行く気?」
ちょっとイラつきながらそう聞いたら、健がようやくその目的地を口にした。
「体育館」