兄貴がイケメンすぎる件


…え、



「…体育館?」

「うん」

「何で。ってか、何のために?何しに行くの?」

「まぁ来てみりゃわかるよ」



どんどん先を行く健の背中にそう言われ、あたしはなんだか納得がいかないながらも、ここまで来たんだし、とそこまでついて行く。

夜の体育館も結構不気味で、外の入口から健が鍵を開けてドアを開けたら……その不気味さは増した。


…広い体育館が、すんごい真っ暗。何も見えない。


その光景にあたしが思わず固まっていると、健がポケットからスマホを取り出して、ライトを体育館内に向けた。



「ちょっと電気つけてくる。世奈はそこで待ってて」

「や、やだ!独りにしないでよ!」

「電気つけてくるだけだから」

「無理怖いあたしも行く!」



あたしはそんな健にそう言うと、ちょっと呆れ気味の健の腕に掴まって、そっと後をついて行く。

あたしは体育館の電気のスイッチがどこにあるかなんて知らないけれど、それをちゃんと知ってる健は、だんだん奥を進んで行って…



「あ、これだこれだ」



そう言うと、パチパチパチと電気をつけていった。



「!」



そしてそれと同時に、体育館内にようやくいつも通りの明かりが戻っていく。

電気がついたことに安心感を覚えていると、健が「世奈、こっち」と今度はあたしを体育館倉庫に誘導した。

< 254 / 386 >

この作品をシェア

pagetop