兄貴がイケメンすぎる件

正直もう限界に近いけど、まだ負けるわけにはいかないし。

あたしは健の問いかけに「平気」と一言呟くと、ボールを手にその場からゆっくり立ち上がった。



「あんま無理すんなよ」

「無理なんかしてないもん」

「…」



あたしは息を整えながらそう言うと、少しフラつく足取りでまた元の位置に戻る。

そうやって必死になるあたしの向かいに立つのは、心配そうな顔をした健。

声には出さないけど、「いい加減やめとけよ」って言ってるのが表情から見てとれる。

審判がいないプレーはやりにくいけど、未だ息切れ一つしていない健がリードしてくれてるから、だいぶ慣れてきた。


でも…



「よーし、ナイスシュート!」

「はぁ…はぁっ…~っ、」



何回試合を繰り返しても、結果は同じ。

まだ体力を奪われていない健に今のあたしが勝てるはずもなく、ボールは余裕で奪われ、またあたしが負けてしまった。



「あーもう悔しーっ!」

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