兄貴がイケメンすぎる件
「なに…!?」
そんないきなりの健の行動にあたしがビックリしていると、健がきつくあたしを抱きしめながら言う。
「……もうやめとけよ」
「…」
「お前より、俺の方が限界なんだよ」
「…?」
そう言って、より強く抱きしめてくる。
その腕の力が痛いけれど、でも今は健の言葉に集中していて…
あたしが頭の上に?を浮かべていたら、健が言葉を続けて言った。
「…俺ね、ほんとは今日…世奈を勝たせる気なんてなかった」
「!」
「でも、かといって俺が勝って本当に無理矢理に世奈と恋人同士になるつもりも無かったの」
「…?」
その言葉に、あたしはますます健の言ってることがよくわからなくなる。
…じゃあ健は、何であたしとバスケなんか…?
そう思っていたら、健が少しずつ腕の力を緩めながら言った。
「…だから、今日は勝ち負けなんてほんとは存在しない」
「?」
「それに、頑張ってフラフラになってる世奈を見てるのも辛いから、これ以上は俺がもうプレー出来ないんだよ。
俺、世奈のこと諦める」
健はそう言うと、あたしと少しの間切なく目を合わせたあとそれを逸らして…
「早月!」
ふいに、居るはずのない翔太を呼んだ。